|
11月6日 飢餓感
ナビスコカップ、浦和レッドダイヤモンズは11年目にして、ついに悲願でもあったタイトルを手に入れました。これにより今まではジェフ止まり(決勝進出経験のみ)だったものがレイソルのレベル(ナビスコカップ優勝)にまで上がった、ということになります。…こう書くと、喜びも少し冷めますかね?でも、決勝トーナメントから参加のアントラーズよりも予選を苦しみ抜いて通過し、決勝トーナメントも先行されたのを跳ね返して辿り着いた末でのタイトルですから、やっぱり、喜びもひとしおですな。
僕は、今回の試合においてアントラーズが4バックできたら苦戦し、3バック(実質5バック)できたらこちらのものになると踏んでいました。というのも今までレッズが苦戦して来たのは4バックの相手であり、そういったチームには悉く2トップを封じ込められ、サイドの選手も自由にさせてもらえませんでしたから。また、アントラーズが4バックに「出来ない」ということも有利な要因と考えていました。なんせ相手は怪我人、出場停止者が多いですからね、昨年以上に。
まあ、そうはいっても相手はあのアントラーズ。準決勝第2戦で名良橋と小笠原を欠いてもジュビロに勝って来たチームですから、油断することはできません。ということで、今回、最も期待していた選手が、内舘秀樹選手でした。本当に、彼がMVPになれるようでなければ、レッズは危ないと思っていました。
彼に期待していたのは、守備の面において小笠原、若しくは本田をいかに封じ込めるかということと攻撃の際にいかに良いボールを供給できるか、またチャンスの際にシュートを打てるかです。同じことは鈴木選手にも言えますが、彼はこの頃右サイドに出張ってプレーすることも多く、比較的自由度の多いプレーをするようになったので安心していました。だからこそ、普段あまり攻撃参加しない内舘選手が前に絡む動きをしてくれれば相手は混乱すると踏んでいたんです。相手を封じ込めるよりも、相手に守らせて試合のペースをつかむ。これこそがレッズが最初にしなければいけないことでした。
それにしても試合前の明治公園での並びの捌き方といい、試合前におけるビジュアル的な面でのアントラーズを圧倒したパフォーマンスといい、レッズサポーターは更に進化したように思います。昨年の身動きの取れなかった並びに比べれば、今年のそれはまさに雲泥の差。仕切って頂いたサポーター有志の皆さんには本当に感謝致します。おかげで僕も昨年よりも声を出して一生懸命サポートできたように思います(自己満足かもしれませんが)。
でも、あの赤、白、黒のシートを用いた、8割以上がレッズサポーターであることを誇示できたパフォーマンスも素晴らしかったですが、個人的にはサポーター各々が持って来た旗をいっせいに上げたシーンが、僕は大好きです。それぞれが思いを込めて作ったり、持って来た旗がたなびいている様子は、昨年以上に大きな赤い波となって選手達を後押ししていたのではないでしょうか。試合の始まるずっと前に、バスは違えど朝一番で一緒にやって来たピン・チャポー氏と話をする機会がありました。ちょうど旗を配り終えたあとだったのですが、彼の大仕事をやり終えた後の充実した顔が忘れられません。レッズサポーターのために何をすべきか、と自分なりに考え、実行に移した彼の行動を、僕は尊敬します。そんないろんな人のいろんな思いがつまった赤い旗の波。ええ、最高でしたとも。
試合前の段階で、すでにペースはレッズのものです。そして試合開始。始まっていきなりオフサイドではありましたがエメルソンがゴールネットをゆする。このおかげできっといける!と思えたのではないでしょうか。普段であればあの時のゴールがあれば…という展開の多いレッズですが、この試合は最初から全開で戦っているように見えました。アントラーズは、予想通りというか3バックの両サイドが下がり目で来ています。これならば、サイドを引っ張りだせれば裏のスペースを活かす攻撃ができる。サイドチェンジを使えれば、もっと深く抉ることもできる!そう思いました。
内舘選手は、今回とても攻撃的でした。いつもはそんなに上がらないのに、かなり前目にポジションを取り、それでも守備への切り替えも早く、そして攻撃の起点になっていました。1点目、2点目、そして試合を決めた3点目を演出した起点は、いずれも内舘選手でした。彼は守備的MFという、非常に地味ではあるものの一番大事なポジションで、献身的に守備をし、積極的に攻撃に絡み、良いボールを供給しました。サッカーマガジンにも書いてありましたが、彼は影のMVPでした。だからこそ、優勝できたのだと思います。
もちろん、1ゴール1アシストの田中達也、良い時間帯で珍しくヘディングシュートを決めた山瀬功治、そして2点を決めたエメルソンの活躍や、ハードマークでアントラーズの若い2トップに仕事をさせなかったゼリッチ、ニキフォロフ、坪井慶介の3バック、幾度となくサイドを突破して攻撃の幅を広げた山田暢久、平川忠亮の両サイド、内舘とともに中盤を制圧した鈴木啓太、そして何本もミドルシュートをはじき出した都築龍太。途中出場でも腐ることなくドリブル突破を試みた永井雄一郎、4点目のエメルソンへのボールを供給した長谷部誠。出場した選手だけではなくみんなで勝ち取った、初めてのタイトル。11年越しの、喉から手が出るほど欲しかったタイトル。
僕達は、ついに手に入れることが出来ました。
浦和に戻るまでの埼京線と東北本線の車両内でのレッズコール、最高でした。完全にトレインジャックしちゃった感じでしたし。浦和に着いたら着いたで、街中が大騒ぎになっていて、本当にお祭り状態で。僕は駒場での優勝報告会にはいけなかったけど、きっと会場でも盛り上がったんだろうと思います。本当に、長い一日でした。
でも、なんというか、物足りないんですよね。試合内容もとても素晴らしかったし、失点もせずに4得点。完璧な試合だった。でも、物足りない。そう、リーグだってまだ勝ち点1差で3位の位置にいるし、天皇杯もある。狙えるタイトルは、まだまだ転がっていて、それにも手が届く。あれだけの勢いを止めてしまうのは、勿体無いですよね。このどうしようもない物足りなさ、飢餓感は今までに味わったことのないものです。優勝したことによってタイトルに対する欲が、出て来たようです。
こうなったら、みんなもらっちゃいましょうよ。カップウィナーだけで、満足できないでしょう?
オフト監督の去就に関しては、もう少ししてから書くことにします。
|