|
5月23日 トルシエ、山本、そしてオフト
えー、用事が立て込んでおります。月末までにやらなければならないレポートがあと2つ、そして現在、ダイエット中で夜になると集中力が途切れがちです。とても文章を構成する力なんて残っておりませんで、今日ようやく落ち着いたので頑張って書いています(でも4日で2.6キロ痩せました。目標は2週間で6キロぐらいですかね、どんだけ太ってんだオイ、ということなんですけどね)。
その合間に、図書館で借りてきました前代表監督、フィリップ・トルシエの「トルシエ革命」と「情熱」という本を読んでいるのですが、彼が監督だったのはつい昨年のことなのにもうずいぶん前の感じがしますな。本の中身はもっと前のワールドユースやオリンピック、アジアカップのことがメインなので記憶を手繰りながら読んでいます。トルシエが良く言っていた「60パーセントの組織、30パーセントの個性、10パーセントの運」も、日本人に適していたものではなかったかと今のジーコのサッカーを見ていると思えたりします。だからといってフラット3が最良のディフェンスだったと言うことにはなりませんし、今の個人ありきのジーコサッカーを否定するわけでもないですけどね。僕の考えはただ一つ、「代表は負けてはならない」と言うことだけです。その点で言えばトルシエはとりあえず結果は出していたので合格であり、ジーコは今の所まだ様子見の段階です。
なんで今頃トルシエの本を読む気になったかと言うと、6月3日号のサッカーダイジェストのU-22代表の山本監督のインタビューを読んで思う所があったからなんですが、山本監督はアトランタオリンピック以降、コーチの立場で若手選手をずっと見てきていて、「日本人で最も世界大会の経験がある監督」と言われています。その人がインタビューで答えたことの中で興味深いコメントがありましたので、ちょっと長いですが引用します。質問は、「やはり選手と監督は50対50の関係にあるということですか」というものでした(段落分け、文字色の変化は僕がしました)。
もちろん監督がやらなければいけないことはたくさんありますが、実際にピッチに立てば、リスクを負ってでもどうやって攻めに行こうかとか、攻撃と守備のバランスを考えてどう判断するのかといったことは、すべて選手が判断することですよね。チームとしてこういう戦術で戦うというベースは守ってもらわなければいけませんが、それはあくまで50パーセントです。その50パーセントしかやらないのであれば、それはチームにとって有効な選手じゃないということになるでしょうね。
私が示すベースの50パーセントはきっちりやってもらわないと困りますし、チームのルールも守ってもらわなければ困る。でもこれは当たり前に守れることで、選手のパフォーマンスに置き換えれば50パーセント程度のものなのです。残りの50パーセントは、個々が考えて自分の持ち味を出せばいいわけです。『オレはこういうことができる、こういうことが得意だ』といった個々のストロングポイントを自由に存分にゲームの中で生かしてくれれば良いと思っています。それがサッカーの一番楽しいところですからね。
監督に言われたことだけをやっているのでは、魅力ある選手とは言えません。魅力ある選手は、チームのベースとなる50パーセントを守りつつ個性を発揮できる。それはチームの勝利という最大の目標に向かって個性が発揮できるということですね。
確かにそうですな。枠の中に収まっているだけで、はたして良い選手なのか。これでは監督の言いなりのロボットサッカーではないのか、と思いました。そこで、かつてそう揶揄されたこともあるトルシエ監督はそこの所をどう考えていたのか気になって読んでいるのですが、こういう一節が「トルシエ革命」という本にありました。2000年のアジアカップに臨むときの名波選手についての評価です。
名波にはチーム全体を見渡しながら、攻守のバランスを取れる素晴らしい感覚がある。守備の意識の高さと攻撃のセンス。そしてパリ・サンジェルマン戦でも明らかなように中村とのスムーズなポジションチェンジ。同じようなバランス感覚を持ち、なおかつ攻守に能力を発揮できるのは日本では他に小野ぐらいであろう。
当時、中村選手はほぼ左サイドの選手として出場し、悩んでいたときでした。そこで名波選手は頻繁に自分が左サイドに出ることによって中村選手を中でプレーしやすくしていました。そのことに関してトルシエは、この本の中では「スムースなポジションチェンジ」と評して、中村選手について何も言っていません。状況に応じてポジションを変え、チャンスを作ることについて怒ることはせず、むしろ評価しています。このことからも試合中の選手の行った判断に関しては、トルシエはあまりとやかくは言わなかったようです。それは以下の文章からもわかります。
試合の方向性という大枠を作り、シナリオを描くのは監督の仕事だが、いったん試合が始まれば、その中で自己を表現しストーリーを作り上げていくのは選手たちの仕事であるからだ(「トルシエ革命」より)
…まあそれなのにワールドカップでは名波選手と中村選手を使わなかったのは、どういうことなんだろうと改めて聞いてみたい気もしますが(名波選手は怪我明けだったんですけどね)。
翻って、オフト監督はどうでしょうか。オフト監督も規律に関しては厳しい人です。でも、今年に入ってからの殻を破りつつある選手たちの自主性に任せた攻撃の組み立て方についてあまり口煩くは言っていないように思われます。確かに、3ラインに関しては今でも厳しく言っていますし、それができていないから試合後のコメントでも良く口に出すのでしょう。でも、それが出来ているときに関してはある程度自由にやっていても概ねOKな感じがします。代表とクラブチームの違いなのか、選手間の能力に差があるからなのか、それはわかりませんが基本的にオフト監督も選手をロボットとしては見ていないと思います。逆に自分を驚かせるようなプレーをして欲しいと、思っているのではないでしょうかね…。もちろん、「これだけはやってもらわないと困る」ことができなかった選手には、出場機会を与えない等の厳しいことをするのはどの監督も同じではないかと思うんですがね…。
このインタビューを読んでから見たU-22日本代表のニュージーランド戦は、非常に組織だったサッカーながらも監督の意図以上のことをやリ始めたのではないかと思います、前半に関しては。後半は選手を入れ替え過ぎたし、システムも替えたしでなんともいえません。ただ、後半の途中にレッズの3人が同時に出ているのを見れたのは嬉しかったです。山瀬選手も久々に出場した上にゴールを決められたし(アシストは田中選手)、鈴木選手も縦のポジションチェンジも頻繁にしていたし、かなり攻撃的でしたね。なかなか面白かった試合だったと思います(間違っても、放送内容ではありませんがね。TBSのセンスの無さには、ある意味尊敬できるところもありますが)。
もうひとつ。この6月3日号のサッカーダイジェストの「J談」というコーナーに山田選手と平川選手の対談があるのですが、なんかね、面白すぎます。今までの他のチームのそれとは違って、話のテンポが漫才のようで。ファンは一読されることをお勧めします。
|